静岡県の「三方原（みかたはら）用水」は、天竜川中流に位置する秋葉ダムから山間部を超えて三方原台地へとトンネルやサイホンで送水する大規模な用水網です。
全国屈指の畑作・施設園芸地帯を含む受益面積約3,300haの広大な田畑を支える同用水は1970年に幹線が完成して以来地域に多大な貢献を果たしてきましたが、同時に現在では老朽化に伴う漏水が顕在化し問題となっています。

そこで同用水の大規模改修が平成28年より順次実施されていますが、幹線道路などの道路下にある埋設管を取り替えるには従来工法では工期と手間が必要で、漏水対策を考えるのであれば少しでも早い工事が必要です。また同地域では通年で様々な作物を生産しており長期間の水供給の停止が難しいことが事情をより複雑なものにしていました。

ウレタンＬＨ工法は、アキレスエアロン- Ｒ（ノンフロン現場発泡硬質ウレタンフォーム）を現場にて発泡させる軽量盛土工法です。軽量性、耐圧縮性、耐水性に加え、現場までは液状材料での輸送となるため、輸送費が削減され、かつ仮置き場を省スペース化できるなど山間地の工事でのメリットを備えています。

そうした中この用水網の一角をなす「根洗用水路」において、断水期間を週３日に留め短期間で既設管の内部に新たな管を形成することができる岡三リビックの管更生工法「ARISライナー工法」が採用されました。
ARISライナー工法は「温水シャワーリング硬化」と呼ばれる手法で継ぎ目のない現場硬化管（CIPP）を効率よく形成することができ、耐震性も高く、またサイホン部のような勾配と屈曲を含む管路にも柔軟に対応できる特長があります。 　迅速な改修により当初の水量を取り戻した根洗用水路は、安全な地域の実現と地力の底上げに貢献しています。

岡三リビックが提供するけい酸塩系表面含侵材「RCGインナーシール」が、国土交通省の新技術情報提供システム( ＮＥＴＩＳ ) において「活用促進技術」（新技術活用評価会議（中部地方整備局））として評価され、登録番号も従来の「ＶＲ（ 継続調査対象）」から「ＶＥ（ 調査完了）」へと変更になりました。
従来技術では複数回塗りとなる工程に対しRCGインナーシールは1回塗り工程のため、施工日数が少なく済み工程が短縮されるとともに、退色性着色材により施工済み箇所が目視確認できる（「RCGインナーシールα工法」）ことで現場の管理品質向上が図れます。

RCGインナーシールは、土木学会規準「けい酸塩系表面含浸材の試験方法（ 案）」（JSCE - K5722012)による品質試験によってその優れた保護効果を確認済み。また岐阜大学との共同研究において、中性化したモルタル基盤および既設コンクリート構造物に対する含浸深さと改質の効果が確認されています。
その主成分となるけい酸ナトリウムおよびけい酸カリウムは粒子コロイドの性状を有しており、コンクリート表層部に浸透すると粒子コロイド自体が水酸化カルシウムと反応して毛細孔を緻密化し、化学反応と物理作用の相乗効果により安定した保護層を形成します。

RCGインナーシールは既設及び新設コンクリート構造物いずれにも適用可能であり、大切な社会資本であるコンクリート構造物の長寿命化という課題に品質性能と施工性で応 え、多くの実績を頂いています。