砂防事業の迅速な推進を支える - パットウォール -

広島市佐伯区
沖積層の広大なデルタに広がる広島市市街は、常に水害と隣り合わせの地域と言っても過言ではありません。
国土交通省では、平成11年6月の土砂災害を契機に、平成13年度度から広島西部山系直轄砂防事業に着手し、砂防堰堤の整備を進めています。
また、平成26年8月豪雨災害や平成30年7月豪雨災害に対し、関係機関と連携・調整して緊急事業による土砂災害対策を行っています。
そうした中、同市西部・佐伯区のニュータウンに近接して整備中の「美鈴が丘1 号砂防堰堤」において採用されたのが、「パットウォール」です。
パットウォールは、コンクリート構造物のための残存型枠パネルで、表面が石積み模様となっているため非常に落ち着いた表情を持ち、景観に配慮した今回のようなロケーションによくマッチします。
パネルは繊維補強モルタル製で1枚約17.5kg( 化粧タイプ、500×500mm ) の軽量さと高強度を両立。
組立や運搬の際にもクレーンは必要ありません。

システム化された部品構成と、鉄筋を使っていないため現場での切断加工が容易なことで、非常にスピーディーに作業ができます。もちろん型枠撤去に伴う廃材も発生せず、そうしたコストを従来工法比で大幅に縮減することが可能です。また、設置作業は内側からが基本となっているため安全に工事ができることも、利点のひとつです。
災害に強い地域の実現のため、同堰堤の工事は急ピッチで進められています。
工事概要
- 施主
- 国土交通省中国地方整備局
広島西部山系砂防事務所 - 工事名
- 令和5年度広島西部山系美鈴が丘1 号砂防堰堤工事
- 施工会社
- 若松建設株式会社
- 商品名
- パットウォール 834m2
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- インバートコンクリートの長期養生工法「キュアロード」 -

インバートコンクリートの長期養生工法「キュアロード」
トンネルの底面を支えるインバートは、トンネル構造の安定性を長期にわたって確保するための重要な構造部材の一つです。
ここで高品質なコンクリート施工を実現しながら工期を大きく短縮することができる工法が「キュアロード」。高い保温・保水性能を有する養生マット「うるおんマット」をインバートコンクリート全面に敷設した後、軽量で耐久性に優れた「エスレンブロック」を仮設路体として工事車両を通すことで、他工程を進めながらコンクリートの長期保温・湿潤養生を行うことが可能となる工法です。トンネル工事における技術提案の参考にして頂ければ幸いです。
<NETIS 登録 HK-200019-A>
「キュアロード」は、五洋建設(株)・積水化成品工業(株)・早川ゴム(株)そして岡三リビックの4社による共同開発です。岡三リビックは常に建設現場の質をより高める様々なアイデアを模索し、その実現に尽力しています。
施工手順

1.
インバートコンクリート打設後、うるおんマットを人力でコンクリート全面に敷設。

2.
うるおんマットの上に、インバート形状寸法に合わせたエスレンブロックを人力で設置。

3.
エスレンブロックの保護と輪荷重の分散を図るため、上面に敷鉄板を敷設。

4.
養生完了後、敷鉄板・エスレンブロック及びうるおんマットを撤去し、次スパンへ転用。
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