徒然月記

岡三リビックの広報誌「岡三マンスリー」の編集者によるコラムです。
徒然なるままに、多ジャンルの様々な事柄に関する雑学的知識が綴られています。
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2018年度

国産鉄橋のはじまり

2018.04

 東京・深川の富岡八幡宮脇の堀跡に架かる小さな鉄橋「八幡橋」。気づかずスルーしそうなくたびれた感じの橋だが、架橋から140年と国内に現存する鉄橋としては大阪市の「緑地西橋」についで2番目に古い。
皇居馬場先門から東に伸びる道にあった「弾正橋」が鉄橋として架けられたのは明治11年のこと。その後この橋の廃橋に伴って昭和4年、深川に移設され、幅を切り詰めた人道橋として第二の人生(橋生?)を歩むことになったものだ。

 この橋で使われている鉄はこんにち橋梁用で一般的な鋼鉄(スチール)ではなく、鋳鉄と錬鉄(アイアン)。まだ八幡製鉄所も釜石製鉄所もない時代に国産鉄材を用いた橋の国内最古の事例だ。
全体的には機能美ある佇まいのなか国章である菊紋が側面部の装飾として用いられているのは、恐らく設計製造した政府工部省による国産品アピールなのだろう。工部省製の工作機械などにも同様に菊紋付きのものがある。

 かつて艀(はしけ)で溢れていた橋の下の堀は今は埋められ遊歩道として再整備されているので、上からも下からもじっくり観察しやすい状態なのが嬉しい。

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