徒然月記

岡三リビックの広報誌「岡三マンスリー」の編集者によるコラムです。
徒然なるままに、多ジャンルの様々な事柄に関する雑学的知識が綴られています。
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2019年度

空飛ぶニセ侍

2019.06

 太平洋戦争敗戦後の日本では、二度と戦争を起さぬよう進駐軍が兵器類をスクラップにしたため、例えば戦場を舞台にした映画を作るのも困難で、話を人間模様だけに絞ったり兵器をミニチュアやラジコンに頼る時期が長く続いた。

 ところが、太平洋戦争の口火となる真珠湾攻撃を描いた昭和45年の映画「トラ・トラ・トラ!」は、驚くべき方法で日本の航空部隊が再現された。日米合作ゆえ予算が潤沢で、九七艦攻・九九艦爆・零戦という三種類の空母艦載機を、姿かたちの似た米軍機をもとに胴体や翼を切り張りして「本当に飛べる偽物」を造ってしまったのだ。しかも3機種各々5機、ワンカットに最大15機もの機影が入る豪華な絵作りが可能となった。
 こうして撮影された空母発艦から真珠湾攻撃へと至るシーンは、本物の飛行機でなければ不可能な空気感と臨場感をこの映画にもたらすことに成功した。

 しかし米軍がやられ放題な内容からアメリカでの興行成績は振るわず、過大な投資とされた15機はその後、ハリウッドの戦争映画にやられ役で何度も登板する羽目となった。映画製作から50年経ち飛行可能な個体が漸減した現在も、航空ショーで米軍機相手のやられ役を引き続き演じ続けているという。もはや時代劇のベテラン斬られ役の域だ。

恐怖のパンデミック(大流行)

2019.05

 あなたやあなたの家族の頭にフケが気になった時、実はそれはフケではない可能性を疑っておこう。

 文明国となって久しい日本でにわかには信じられないことだが、髪の毛に紛れて棲み、人の血を吸いつつ毛に卵を産み付けるという「アタマジラミ」が最近その勢力を伸ばしている。このシラミの卵がぱっと見、フケのような感じなのだ。
 ある推計によれば国内で年間50万人の感染者がいるといわれ、特に近年は海外からの観光客と一緒に渡来している疑いもあるらしい。

 アタマジラミが面倒なのは、一カ月ほどの生息期間に卵を100個は産む脅威の繁殖力を持ち、またクッションやタオル等を介して容易に転移すること。遊びを通してのスキンシップの多い子供らとその家族での流行が特に多い。

 その対策には殺虫剤メーカーから出ているシラミ用シャンプーが効果的で、これはどこの薬局でも買うことができる。ただしシャンプーが効くのは成虫だけ。卵は目の細かいくしですいて少しでも多く除去しつつ、卵からかえった成虫をシャンプーで撃退するダブル戦術が必要だ。我が家にもこのシラミは襲来し、3週間は格闘する羽目になった。

人と映像の境

2019.04

 東京・お台場で開催されているデジタル映像の展覧会「チームラボ・ボーダレス」が人気だ。作品をただ見るのでなく、観覧者の動きに反応して変化する映像を楽しむ双方向イベントとしてとても「遊びごたえ」がある。
クリエーター集団「チームラボ」は2011年の初個展以来その表現や技術を年々バージョンアップさせながらこうした展覧会を開いてきた。まさにデジタル時代の「進化する」アートだ。

 子供らの一番人気は、自分が描いた魚や亀をスキャンするとそれが壁面の大スクリーンの中を泳ぎ始めるデジタル水族館。熱帯魚にもこんな色はないだろうという派手な色使いの魚たちが所狭しと泳いでいる。
大人は会場中央の大空間に流れる滝(の映像)に惹かれるだろうか。流れている水の上に立つと、自分を境にちゃんと水が二手に分かれるのが凄い。
これら様々なテーマの部屋全てが投影映像でシームレスに繋がり、順路のない迷路空間を自由に行き来できるのが会場の特徴となっている。

 ちなみに、お台場からほど近い豊洲でも「チームラボ・プラネッツ」と呼ばれる別テーマの展覧会が開催されているので、表現の違いなどをチェックしてみては。

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