限られた空間で補強土壁を成立
- 多数アンカー式補強土壁工法 -

中京都市圏東部を南北に結ぶ幹線道路「瀬戸大府東海線」は、愛知県瀬戸市から同東海市へと至る主要地方道。同道長久手地区について、国土強靭化を迅速に進めるための5か年加速化対策の一環としてバイパス道路の整備が進められています。
災害時の物資・人材受け入れの起点となる東名高速道路名古屋IC及び名古屋瀬戸道路長久手ICへのアクセス性向上により緊急道路網を強化すること、また長久手市街を通る現道の混雑を避け交通の分散を図ることを整備の目的としています。

そのルート上、愛知用水の管理用通路にスロープを付加する工事に際して、岡三リビックの「多数アンカー式補強土壁工法」が採用されています。多数アンカー式補強土壁工法であれば補強材長が比較的短くて済むことから、民地と用水、既設擁壁に挟まれた限られた幅の中で新たな道路盛土を構築するには好適であるためです。
また、補強領域をコンパクトにできることは施工範囲の縮減とともに地盤改良面積の縮減にも繋がり、工事全体としての工費の抑制にも繋がっています。
工事概要
- 施主
- 愛知県尾張建設事務所
- 施工路線
- 主要地方道瀬戸大府東海線
- 施工会社
- 株式会社山本工務店
- 商品名
- 多数アンカー式補強土壁工法約182m2
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2025年8月号 PDF版 空石積擁壁を経済的に耐震補強
- ハイブリッドMP工法 -
近年頻発する大規模地震や豪雨により、宅地擁壁の倒壊が多く見られていることから、国土交通省より「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル( 令和4 年)」が発行され、全国に存在する健全度の低い宅地擁壁が対策されることで宅地防災の推進が図られています。
国土強靭化の推進にあたっては、空石積擁壁や健全度の低い練石積擁壁などを予防的に耐震補強することが強く求められていました。
そうした社会的ニーズを背景に研究開発された対策工法が「ハイブリッドMP工法」です。
中空ねじボルト
ロストビット
ハイブリッドMP工法は、擁壁天端部に斜め鉛直方向に打設する「引張パイル」と石積みの基礎部に打設する「圧縮パイル」を前張りコンクリートと一体化させ、擁壁全面を保護することにより石積擁壁の「転倒」、「滑動」、および「基礎部の沈下」が生じない補強をします。
この構造により石積擁壁の崩壊が生じることを抑止し、ボルトの打設ピッチも「引張パイル」と「圧縮パイル」は約1.5~2.5mおきで良いため、極めて経済的かつ迅速な施工が可能です。
補強材には異形鉄筋のほか中空ねじボルト( SPボルト) を採用可能。宅地地盤においては強固な岩盤が浅い位置にあることはまれなため、二重管削孔のセンターロッドに代えてロストビットを使ったスピード施工にも対応しています。
類似工法との比較
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