岡三マンスリー

「岡三マンスリー」は岡三リビックが毎月お届けする、
トピック満載の広報誌です。
2000年10月から発行しております。

2021年 11月号

県中部を東西につなぐ多数アンカー壁- 多数アンカー式補強土壁工法 -

沖縄県の県道「宜野湾北中城線」は、沖縄本島の南北方向を結ぶ国道(58号・329号・330号)や沖縄自動車道とを東西方向に結ぶ幹線として位置付けられた中部圏の主要道路。工業集積地である中城湾港新港開発地域へのアクセス道路として機能しています。
同道は、前出の各幹線同士が最も距離を詰めて併進する地域ゆえに本島各部からの相互連絡の交通流入・通過が一日2万5千台とたいへん多く、ルート上の各交差点は常時混雑を余儀なくされています。さらに今後の中城湾港新港開発地域の進展に伴い交通渋滞の悪化も予想されるため、バイパスルートの整備を含めた4車線化工事を進めています。

バイパスルートは旧道の線形や急勾配を解消する目的があり、延長263mのトンネルを含め丘陵地を切り開いて造成しています。
ただ整備計画全体では用地確保の進捗具合が工期にも影響しており、既存宅地を極力避けながら盛土を構築する区間では「多数アンカー式補強土壁工法」による垂直壁が採用となりました。
また多数アンカー式補強土壁は比較的幅広い土質に対応しているため、現地発生のトンネルズリも盛土材として有効活用されています。

工事概要

発注者
沖縄県中部土木事務所
工事名
宜野湾北中城線道路改良工事(H30-2)
施工業者
株式会社内間土建
施工規模
多数アンカー式補強土壁工法 約1,775m2

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2021年11月号 PDF版

文化財の橋「エージング」で風情を維持 - エージング塗装 -

長野県大鹿村・小渋橋
南アルプスを背景に清らかな流れをみせる天竜川の支流・小渋川。ここに架かるのが、1957年完成の鉄筋コンクリート橋「小渋橋」です。橋長106m、三連アーチを持つ独特の佇まいで知られ、長野県内に多く残る古いローゼ式アーチ橋のなかでも完成度の高い代表的なものとされています。 2011年には国の登録有形文化財にも指定を受けました。
しかし架橋から60年以上が過ぎ経年劣化が目立つようになっていたことから、橋を管理する大鹿村では修繕の必要性に迫られていました。

現在では小渋橋の下流側に2006年完成の「新小渋橋」が架かり国道としての機能がそちらに移されているため、交通インフラとしての同橋の重要性は以前より下がっています。
その一方で新小渋橋上から捉える、小渋橋と南アルプス赤石岳がワンフレームに収まる風情ある景観が知られるようになるなど文化財としての存在感が増していたことから、修繕にあたっては橋としての機能の維持に加えて見た目への配慮もなされることとなりました。またその施工は新設当時に工事を担当した木下建設(株)自らがあたりました。

この修繕工事ではアーチ部分から桁下、橋脚に至るまで劣化している箇所をハツり、モルタルで補修。クラックが発生していた部分もモルタルが注入されました。しかしそのままでは補修部分のつぎはぎ感が否めません。
そこで仕上げに導入されたのが、岡三リビックの「エージング」塗装です。これは通常、人工構造物と景観とのマッチングを図るために人工物を自然の色に寄せるといった用途に用いる技術ですが、この工事では橋全体のくすんだコンクリートの色味を橋の持つ歴史と風格の肝と位置づけこれをカラーチャート化。熟練作業員の手で補修部にその色のくすみを加える方向で実施されました。
これにより一般的に補修工事を終えてスキっとクリーンに仕上がるイメージとは真逆の、仮設足場が取れてもまるで何も補修されていないかのような姿を再び見せたことには地元の方々もびっくり。これまでと変わらない風情を保つことに成功しています。

土木構造物も景観の一部と捉えあえて古びたままの姿にするエージングは、維持補修というジャンルに新しい視点をもたらしました。

工事概要

発注者
長野県大鹿村
工事名
令和3年度橋梁コンクリート補修面エージング処理工事村道小渋橋線小渋橋(H30-2)
施工業者
木下建設株式会社
施工規模
エージング 約310m2

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