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4頭ものアジアゾウを迎え入れ

動物園がただ動物の姿かたちを見せるだけでなく、行動や生態までを見せる施設へとシフトしている昨今、人工岩「ロッキーステージ」への注目度も高まっています。

4頭ものアジアゾウを迎え入れ
札幌市の円山動物園では、平成19年にゾウの「花子」が死亡して以来ゾウの展示が途絶えることになり、新たなゾウの展示とその方針について様々に検討を重ねていました。その間市民からもゾウ復活の署名運動が起こるなど待望する声は大きく、ついにこの3月、4頭のアジアゾウの展示施設が新たにオープンの運びとなりました。これほどの頭数のゾウをいちどきに導入するのは、近年国内ではなかなかないことです。

屋内放飼場でくつろぐゾウ

そもそもアジアゾウはワシントン条約(CITES)の「付属書I」に掲載されている動物で、今日では自由な輸出入もできません。ちょうど平成26年の日本とミャンマーの国交樹立60周年の機会を捉え、その一環としてアジアゾウと、円山動物園から送ることのできるオットセイやキリンなどの動物達とを相互寄贈する形でようやく実現した事業でした。
導入にあたっては国内外の飼育施設との密接な協力による種の保存の推進が必須なのはもちろんですが、施設単独での繁殖を積極的に目指すために、もともと野生では十数頭で生活するアジアゾウに必要とされる最小集団の構成がメス3頭といわれていることから繁殖に必要なオス1頭を加え合計4頭という頭数が決定しました。

快適な生活空間を目指して
新しく用意するゾウ舎にもそうした理念が反映されていて、充分なスペースとリラックスできる環境を目指して屋内放飼場は約2,200m2、屋外放飼場は約3,000m2と、国内最大級の規模となっています。寝床で気持ちよく寝ころべるよう屋内の床には約1m、屋外には約50cmもの厚みで砂を敷き詰めたり、屋内外両方に水場を設けたり、外断熱による防寒対策やトップライト採光、ミスト装置など快適な住処(すみか)となるべく意欲的な設計が数多く投入されました。

完成した屋内放飼場

来訪者の視点では、敷地勾配や放飼場の高低差を利用して様々な位置と角度からゾウが見れるように計画されているだけでなく、屋内の水場でのゾウの様子を水中視点から見ることもでき、教育プログラムを実施するレクチャールームの設置などと併せてゾウの生態をより深く理解できる構成となっています。

このゾウ舎においてリアルな飼育環境の表現に一役買っているのが岡三リビックの人工岩「ロッキーステージ」です。施設の計画段階からそのデザインに関わり、縮尺模型などを用いて動物園側と綿密に討議しながら効果的な空間演出を練り上げていきました

模型での色味や形状の検討

この工事を主管した国土交通省北陸地方整備局松本砂防事務所からは、「平成30年度優 良工事」のひとつとして施工会社のサワンド建設(株)が表彰されたほか、こだわり抜いた当社の人工岩業務も「優良工事における下請負者」として表彰を受けました。

検討模型

ロッキーステージは屋外放飼場のあちこちに用いられているのはもちろん、屋内の水場ま わりなどにも使われていて、トップライトから差し込む日差しがさながら森の中の川辺の ような雰囲気を醸し出しています。

さらにオス舎とメス舎の仕切り壁は土くれ風の仕上げで変化をつけたり、エサを吊り下 げておくための柱は立ち木らしい見た目にしたり(頂部には鳥の巣風の装飾も付いている) など場所に応じた様々なアイテムの配置で生活環境の充実に寄与しています。

屋外放飼場と立ち木

ゾウ4頭はこの新しいゾウ舎に昨年11月から住み始めており、3月の一般公開時にはすっかり慣れた様子。舎内をゆったりと歩き回ったり、食事をしたりと落ち着いた様子で観客 らを迎えていました。

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